裸眼日記

札幌在住のミュージシャン青柳唯(あおやなぎゆい)が音楽・映画・お笑いなどについて書くブログ(両目1.5)

生まれて初めてトークイベントに登壇してわかったことと、その改善策

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少し前の話になるのですが、今年の3月5日、生まれて初めてトークイベントに登壇しました。

僕はバンドをやっているので、毎月行われるバンドのライブでは曲と曲の間のちょっとしたトーク、所謂「MC」というものもやっていますが、"トークをするためだけ"に、お金を払って足を運んでいる人の前に立つというのは初めての経験でした。

とても刺激的でヒリヒリとしたこの初体験を通して感じたことや気付いたこと、そしてもう一度人前でトークをする機会があれば実践したい改善策について書こうと思います。

学校や会社、サークルのような団体など、人前で話をするという機会は誰しもあると思います。
共感することもあるかもしれませんし、人によっては参考にできたり、むしろアドバイスを僕に送りたくなったりする方(経験豊富ないい人)もいらっしゃるかもしれません。

少しでも興味のある方は是非最後までお付き合いください!

なぜ登壇することになったのか

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厳密に言うと映画上映会の、上映後のゲストトークに登壇しました*1

札幌の自主上映グループ「キノマド*2」主催のイベントでした。

札幌の劇場で公開されなかった新作映画*3を上映する「見つけるシネマ」というシリーズ企画で、『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』という映画の上映会があり、その上映後のゲストトークに呼んでいただきました。

この映画はスコットランドはグラスゴー出身のバンド"ベル・アンド・セバスチャン"のメンバーであるスチュアート・マードックが監督・脚本を務めたミュージカル映画です*4

そういった映画の性質と、キノマドのスタッフの方が兼ねてから抱いていた「上映会後にゲストトークを開催したい」という思いの元、今回、地元札幌のミュージシャンがゲストトークに呼ばれることになりました。

僕が札幌で名のある有名ミュージシャンだというわけでは決してないのですが、キノマドのスタッフの方と僕の共通の知り合いの方がいて*5、その方の仲介があり登壇が決まりました。

一応僕も、詳しいと豪語できるほどではないですが映画は好きだったので、そういった面からキャスティングしていただきました。

話をもらった瞬間から、うれしさと楽しみな気持ち、やる気と不安で震えあがりました。

どういった内容のゲストトークだったか

ゲストトークには僕含め3人のミュージシャンが登壇しました。

特別映画に明るいわけではないが、ベル・アンド・セバスチャンが大好きなマツハシユーキさん*6

映画にも詳しくて、ベル・アンド・セバスチャンも結構好きだという澤谷恒一郎さん*7

そして、映画好きを公言しつつもこういった場に出るとなるとビビッて「僕そんな映画詳しくないんで...」という態度を取って逃げようとしている私青柳唯*8(ちなみにベル・アンド・セバスチャンはほとんど知らない)の3名。

この作品の上映は何日間かに渡って行われるわけではなく、この日一日のみ*9
朝から夕方までで計3回の上映が行われ、僕らが登壇したのは最後となる3回目の上映の後でした。

イベントの締めくくりとなる最後の回の上映の後に、映画本編のことやベル・アンド・セバスチャンのことなどをこの3人で20分間トークするというものでした。

最大の難関「お客さんは僕らのことを知らない」

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映画の上映が終わり、これからいざ登壇するぞという時、僕らは異質な緊張感に襲われていました。

音楽を演奏するために人前に立つそれとは違う、「人前でただトークをする」という経験値の少ない分野でのステージだったというのもあるのですが*10、そこにさらに追い討ちをかけているのが「誰も僕らのことを知らない」という事実でした。

僕らが有名人で、ファンがそのトークを聞きに来ているのならいざ知らず、僕らが相手にするのは「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガールを観に来たお客さん」です。
基本的には僕らのトークを聞きに来たお客さんではないのです*11

僕のことを知らない人たちの前で演奏することはよくありますが、それは武器(楽器であり音楽)を持ってステージに立っているので怖さはあまりありません。

しかし今回持っていく武器(トーク)は、仲間内の練習(打ち上げなど)でしか使ったことがないので、いざ本番で通用するかはわからないという怖さがありました。

こう書くと悪い面しか見えないですが、映画を観に来たお客さんが相手ということは、逆に言えば「普段ライブハウスに来ない層のお客さんをファンにする(トークでもって)」というチャンスでもありました。

この異質な緊張感には、そういったチャンスへの「やったるで」感も含まれていたのです…(ゴゴゴゴゴ…)。

全体の流れとよかった点

打ち合わせをあまりしませんでした。

それぞれのスケジュールが合わなかったのもありますし、個人的には「あんまり打ち合わせしすぎると、打ち合わせで盛り上がって本番で盛り下がるパターンになっちゃうんじゃないか?」という恐れもありました。

それでも当日の本番前、ある程度時間があったので、3人で軽く、どういった感じにしようかという話はしました。

このミニ打ち合わせが功を奏したのです。

打ち合わせの中で、マツハシさんは僕らが思っていた以上にベルセバヲタク*12だということが判明したのです。

今回のイベントの流れとしては、キノマド主宰の田口さんが僕ら3人を招き入れ、簡単に紹介。

その後は僕が司会のような、回し役を担当し、3人だけでトークをするというものでした。

そこでどういった方向に話を進めればイベントを面白くできるかを考えていたんですが、このマツハシさんのベルセバヲタクが判明してからは「いかにマツハシさんに熱を持って、映画の中に隠されたマニアックなベルセバ情報を紹介してもらうか」に懸かっているな、と思いました。

実際イベントが始まってからは、まずなぜ僕らがこのイベントにキャスティングされたかを僕がお客さんに説明し*13、その説明で「誰だよコイツら」の疑問を解きつつ、こちらの喋り方や雰囲気で、イベントの空気を柔らかくさせて、「お客さんも硬くならないでリラックスして聞いててね〜」という雰囲気作りを目指しました*14

その後中盤くらいからマツハシさんのマニアックなヲタクトークゾーンに突入することに成功し、これがなかなか内容として面白くなりました。

「主演の女の子のバンドのバックバンドが実はベルセバのメンバー(フルネームで紹介)」
「脇役だけど印象的な公園を掃除していたお姉さんは、実はベルセバのアルバムジャケットに登場していた」

などなど、ベルセバを好きでないとわからない映画内の小ネタをマツハシさんは紹介し、僕はベルセバをあまり知らないので、相槌を打ったり質問をしたりしてお客さん代表としてのポジションを務めました。

その他、僕の役割としては、ちょっとしたユーモアや小ボケでお客さんの空気を柔らかくするというのもあると思っていました。
これについては軽くジャブを打ったりしてはいたんですがなかなか笑い声を響かせるのは難しく、唯一一度だけ、終盤マツハシさんのヲタクを軽くいじるくだりで少しだけ「ドッ」と会場の笑いを誘うことができました*15

悪かった点とそれを踏まえた改善点

これについては完全に打ち合わせを綿密にやるべきでした。

中盤からマツハシさんのマニアックトークが炸裂したおかげで会場全体が温まっていき内容のあるものとなっていきましたが、序盤は澤谷さんが絶妙な観点で感想を述べるという良い点こそあれど孤軍奮闘で、全体としてのグルーヴを作れませんでした。

本来は綿密に打ち合わせをしてスタートから終わりまでの流れを決めてしまい、それを再現すべきだったんだなと、終わった今となっては思います。

最初にこの話をして、次にこの話を、そして最後はこうやって締めて…といったように、具体的なトークの内容とその流れを決めて、本番ではそれを再現しつつ、膨らませる話は膨らませて、流れに沿わない話はカットするという方法です*16

実際、後半で面白くなってきたマツハシさんのベルセバヲタクトークも、直前の打ち合わせで聞かせてもらったエピソードがほとんどでした。

事前に聞いてるからこそ次の話へのフリも投げられるし、打ち合わせの際に概要だけ聞いてた話を本番でさらに掘り下げるということもできるんです。

打ち合わせで一度聞いてる話でも、本番では初めて聞いたように「そうなんですね〜!」「なるほど〜」とリアクションをとることも以外とできました。

一度本心から出た「なるほど〜」は2回目でも再現可能だということも学びました。

むしろ流れを決めずに本題までスムーズに辿り着かせる方が難しいんですね。

テレビのバラエティ番組なんかでも、エピソードトークに関して言えば、事前のアンケート→打ち合わせでトークを選定→本番で披露と言った場合も多いようですし、20分間でギュッと内容の濃いイベントにするためには綿密な打ち合わせが必須だったんだと思い知りました*17

おわりに

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とても刺激的な体験をさせてくださったキノマドスタッフの皆さん、紹介してくれたひでさんを始め、一緒に登壇したマツハシさんに澤谷さん、お客さんや会場の札幌市資料館、果てはスチュワート・マードック監督にまで感謝の気持ちを抱きつつ、僕がイベント終了後に漏らした感想は「場数踏みたい...」でした。

とても楽しかったのはもちろんなんですが、もっとたくさんトークの戦場に立って鍛えられたいと思ったのです。

そんな話をする中で、なんと次の戦場が決まったのです...(ゴゴゴゴゴ...)。

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6/26にトークイベントに出演することになりました!

これだけ丁寧に振り返ってから、その流れで最後に宣伝する感じが、ドキュメンタリータッチで老夫婦を追った青汁の宣伝番組を思い出さざるを得ません。

なんと主催はマツハシさんがやっているフリーペーパーNAGISA。

内容は僕のバンドcolor chordのCDの特典でついてくるミュージックビデオの上映会&トーク&ミニライブといった感じです。

ちなみにそのミュージックビデオが収録されたCDのことを書いた記事もあります(読んでネ)。

yui-aochang.hateblo.jp

さらに「音楽がグッとくる映画」のトークショーのコーナーもやる予定です。

これには僕やマツハシさん、キノマドに僕らを紹介してくれた映画大好きのひでさんも登壇します。

澤谷さんも登壇してくれたら面白いと思うんですがスケジュール的に厳しいのかな、どうなのかなという感じです。

「トークを披露する機会がないなら作ればいいじゃない」という発想、最高だと思います。

札幌近郊の方は是非遊びに来てください!

今回は綿密な打ち合わせをしたいと思っています*18

*1:なのでトークイベントというよりは「トークコーナー」と表現した方が正確かもしれません。

*2:クールなグループです。http://www.kinomado.com

*3:日本では毎年1000本以上の映画が公開されるそうですが、札幌の劇場で公開される作品はその半分くらいしかないらしいです。

*4:スチュアート・マードックがバンドとは別に始めたソロプロジェクト「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」として2009年に発売した初のアルバム『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』をミュージカル化した映画。ソロプロジェクトとか言ってるけど、オーディションで探した女性ボーカル2名がメインで歌ってたり、演奏にはベル・アンド・セバスチャンのメンバーが全員参加してたり、ベル・アンド・セバスチャンの曲のカバーもしてたり、なんでもありのスチュアートわがままプロジェクトって感じですかね。映画化することまでがプロジェクトだということをアルバム発売時から発表していたらしいです。こんなに壮大で、手間もお金もかかりそうな一大プロジェクトを実現させてしまうのは本当にすごい。めちゃくちゃ大変だったろうな、と想像しますし、実際は想像を超える大変さなんだろうな、とすら思わされます。

*5:ひでさん。企画もやってます。その空間にいた誰よりも本数的に最も映画を観ていると思われる人。ひで (@hiddengolden) | Twitter

*6:YOUMY,pappaの2バンドに所属している他、Swanntam名義でソロとしても活動していて、最近は「NAGISA」というフリーペーパーを主宰。マツハシユーキ (@youmy_mattsun) | Twitter

*7:YOU SAID SOMETHINGというバンドに所属し、苫小牧ELLCUBEというライブハウスのスタッフでもある。Y.S.S sawayaan (@yousaidsawa8) | Twitter

*8:color chordというバンド、Strange Fox Recordsというレーベルを主宰。

*9:つまり札幌でこの映画をスクリーンで観れるチャンスはこの日しかなかった!

*10:普段のライブと違い「トークがダメでも演奏を始めればいい」という逃げ道がないのもある。

*11:何人か友達が来てくれてはいましたが。(ありがたかったです!)

*12:ベル・アンド・セバスチャンヲタク。異常な愛とマニアックな情報を持っていた。

*13:マツハシさんはベルセバめちゃくちゃ好きで〜、澤谷さんは映画もベルセバも好きで〜といったような前述したそれぞれのキャラクター

*14:普段のライブのMCではこの空気作りを割と得意としているんですが、正直このときは異質な緊張感に包まれすぎて成功したか自分ではわかりません。謎に手震えてたし。多分あんまり上手くはいかなかったけど、最低限の説明は果たせました。

*15:ギリギリ一矢報いた感ありました。

*16:必要であれば司会の僕だけ手カンペを持ってもよかった。

*17:1時間くらいの長い場合だと、ゆっくり始まって段々と熱を帯びていく、といったパターンもアリなのかもしれないな、とも思いました。

*18:こうやって書くとハードル上がりすぎて嫌になってきました。