裸眼日記

札幌在住のミュージシャン青柳唯(あおやなぎゆい)が音楽・映画・お笑いなどについて書くブログ(両目1.5)

映画『海よりもまだ深く』 何も起きないけど、その決心に両手を挙げて叫びたくなる

f:id:yui_aochang:20160526131125j:plain

映画『海よりもまだ深く』を観ました。

是枝裕和監督作品。
札幌シネマフロンティアにて。

是枝監督は家族を描いた作品をたくさん撮っていますが、母親役を樹木希林が演じ、その息子役を阿部寛が演じるという意味では『歩いても 歩いても』と共通しています。

他にも「家族が実家に帰って過ごす日を描く」という部分など、この2作品は共通する部分がいくつもあり、姉妹のような作品だと監督本人が語っているそうです。

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも正式出品され、国内のみならず海外でも評価の高い今作について、ネタバレ少なめ*1で書こうと思います。

人生の真理をつく名ゼリフが満載

「幸せってのは何かを諦めないと手にできないもんなのよ」

予告編で樹木希林が語っているこういった類の人生の真理のような名ゼリフがいくつも登場します。

それが特に物語を説明しすぎているとも、説教くさいとも感じませんでした。
なぜかと考えると、それはきっと阿部寛演じる良多があまりにかっこ悪い大人だからだと思いました。

この映画は樹木希林がいなかったら成立しないくらい、樹木希林という女優*2の凄さを感じる映画で、そんな人生の酸いも甘いも知った樹木希林が名ゼリフをいくつも残しています。

他にも、良多の勤める興信所の上司役のリリー・フランキーもズシッとした名ゼリフを聞かせてくれるし、良太の別れた奥さん役の真木よう子も鋭いセリフを刺してきます。

これらの名ゼリフたちに共通するのは、すべて阿部寛演じる良多に向けられた言葉だということ。

良多があまりにダメで、かっこ悪くて、上手くいかない人生を送っているからこそ、回りの人間が人生の真理を説くんです。

完璧に見える人って、誰も助けてくれないもので、逆にちょっと隙があったりダメだったりする人こそ人に助けられて生きていったりすると思うんですが、良多の場合も、生き方が下手だからこそ、より良く生きるための道標を人生の先輩たちが教えてくれています*3

日本の文化が詰まっている

特に僕が子どもだった頃、実家だったり、祖母や親戚の家に行った時に目にするような光景・文化がたくさん登場しました。

父が亡くなり、生前お世話になった人たちに送るハガキを母と娘が書くシーンから映画は始まりますし、団地という文化や、実家暮らし特有の生活の息遣いも描いています。
ギャンブルとしての競輪も日本特有のものですし、年間何十回と列島を通過する台風と付き合っていく家族の在り方も日本的です。

こういった描写は、感覚的に日本人以外には伝わらないんじゃないのか?
そんな不安を、カンヌ国際映画祭を始め海外で上映されるであろう是枝作品だからこそ感じたましたが、よく考えれば、それはむしろ逆なのかもしれないと思いました。

日本の映画だからこそ、日本の文化を詰め込んだのだと考えることができます。

映画通の外国人は、登場人物のセリフや態度、物語の流れの文脈から、初めて目にするその日本文化の意味を探し出そうとします。

僕はアメリカの青春映画に登場するプロムのシーンが好きなんです。
プロムというのは、アメリカの高校の卒業時(2年終了時もあるらしいけど)に開かれるダンスパーティーで、男女ペアで出席するルールとなっています。

映画の主役の青年は意中の女子をプロムに誘ったり、誘えなかったり、好きでもない女子と行くはめになったりするんですが、プロムは男女ペアじゃなきゃ出席できないからこそ、そこにドラマが生まれるんです。
しかも高校卒業前最後のパーティーとなると、そのドラマ性はもう想像に難くないでしょう。

僕は日本で生まれて日本で育ったからこそ、プロムの文化を知りませんでした。
映画で知ったし、むしろ映画でしか知らない。

そういった外国の文化を映画の文脈の中で感じて、学んで、そこに生まれるドラマを楽しむことが外国映画の醍醐味の一つと言えると思うのです。

今回のように、日本で生活していないと知らなそうな日本文化が映画にたくさん登場したとき、「外国人に伝わるのかな?」という不安もありましたが、それと同時に、「懐かしいな」「子どもの頃あったなこれ」と言った感情が沸き起こりました。

その感覚も気持ちいいんです。
その国の文化を映画に取り入れることは、知っている人も知らない人も楽しめる要素になるんだなと思いました。

何も起きない。それがいい

是枝監督はおそらくこういった映画をいくつも撮っているんだろうと思うのですが、今作も大きな事件やハプニングは起こりません。

それでも僕は映画終盤、席を立ち上がって「いぇーーー!!」と言いたくなりました。

ずっと続いていた関係が、これからも変わるわけではないのだけど、何か心の中で決心がつく。
映画はその瞬間を、その過程を描いていて、僕はそこにグッときました。

一見何も変わっていないようで、実際何も変わったわけではない。
ただ誰かの心持ちだけが変わるような、そんな映画が僕は好きで、『海よりもまだ深く』はまさにそんな映画でした。

おわりに

キャストがみんな良い演技をしていて、名指しで全員のいいところを挙げていきたいくらいなんですが、その中でも池松壮亮のナチュラルな演技とキャラクター、先輩を慕ってるけど若干舐めてる感じが最高でした。

ハナレグミの主題歌『深呼吸』も、曲としても純粋に良いし、映画ともマッチしていて最高です。

ちなみに『深呼吸』のミュージックビデオは映画のスピンオフ作品になっていて、池松壮亮を主演に据えています*4

ハナレグミ – 深呼吸 【Music Video Short ver.】 - YouTube

映画館で観るからこその迫力や演出がある作品ではないですが、今また映画館で観たくなっています。

号泣するわけでもないし、ハラハラさせられるわけでもない。
それでもじわじわと浸らせてくれる良い映画でした。

*1:でも結構しちゃうかもしれません。これからの人は気を付けて!

*2:いや、女優というよりも、それ以前の人間力の話かもしれない。

*3:あと、中村ゆり演じる良多の同僚も、新しくて、でも納得できる素晴らしい考え方を伝えてくれています。必見!

*4:YouTubeだとフルで観れないのがもどかしいですね!

映画『海街diary』一生観ていられる姉妹の日々。『男はつらいよ』のようなシリーズ化を希望します!

f:id:yui_aochang:20160522144723j:plain

映画『海街diary』を観ました。
現在公開中『海よりもまだ深く』の是枝裕和監督による2015年の作品。

最近の是枝監督は世界での評価をどんどん高めていて、今や日本を代表する監督の一人と言って間違いないと思います。
そんな是枝監督の、映画監督して油の乗りきった今作。

実は公開当時映画館で観た作品なのですが、当時書いた文章に若干加筆修正をしてここに再掲します。

テーマとタイトルだけでグッとくる

何気ない日常の中、求めても求めなくても年月を経る上でどうしたって起こる変化にどう向き合っていくか。

生きているだけで人は何度も選択を迫られて、その大小は様々だけど、逃げたり立ち向かったり後悔したりして、それでも生きていく。

海のある街に生きる姉妹の日々の記録(diary)。
良い映画に良いタイトル!是枝監督最高!

姉妹という関係性のリアリティを垣間見る

姉妹の関係性というものがどういうものなのか、僕は身を持って知ってはいないけど、それでも感じる姉妹間の空気のリアリティ。

それぞれのキャラクターが立っているのも、わかりやすい。

「登場キャラクターを好きになってしまったら、だいたいその映画ごと好きになっちゃう」が僕の持論ですが、今作も例に漏れず魅力的な登場人物ばかりです。

四姉妹の中では、三女の夏帆の映画の中での扱いが比較的小さい印象を受けましたが、今作のハイライトは夏帆がカマドウマの真似をするシーンだと、ここに断言します。
間違いありません*1

キャストもヤバい

綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すずの四姉妹の時点で「この映画キャストヤバすぎ!」の声鳴り止まないのに、彼女らを取り囲みグイと押し出す脇役に風吹ジュン加瀬亮大竹しのぶリリー・フランキー樹木希林などなど。

少なくともこの5人が脇を固めている映画が格式高くならないわけがない。
徳が高くない映画にこの5人が揃うわけないじゃないですか。

『そして父になる』での功績を存分に活用して(多分)集結した超贅沢キャスト。
しかしそこに負けもせず驕りもしない映画自身の持つパワー!是枝監督にアッパレ!

おわりに

人の人生って絶対にドラマがあって、その紆余曲折を丁寧に描けばそれだけで良作になる。

創作物でこそあれ、彼女らの日々をずっと追っていくだけで作品として成立してしまう感じが安易に想像できます。

男はつらいよ』『釣りバカ日誌』のようにシリーズ化していつまでも観ていたい作品です。

*1:ものすごく偏った意見ですいません。夏帆ちゃんといえば岡田将生くんと共演していた『天然コケッコー』も思春期の日々を描いた傑作なので必見です。最高です。

映画『ミッドナイト・イン・パリ』はミーハー映画だから気楽にみよう

f:id:yui_aochang:20160522104133j:plain

ミッドナイト・イン・パリ』を観ました。
ウディ・アレン監督作。2011年公開。

1960年代から年一ペースで映画を撮り続けているヤバい奴、ウディ・アレンのキャリア最大のヒット作。
75歳でキャリアハイを迎える*1ってどういうこと!?

ウディ・アレン監督作では監督自身の性格やキャラクターが映画の主役の人物像に反映されることが多いと聞くけど、今回もそうらしい*2

そりゃ毎年映画を撮ってたら、次の作品のテーマについて調べたり勉強したりする時間もなさそうだし、自分の人生の切り売りと妄想だけで作品を撮ってるんじゃないかと思わされる。
人生の3分の1は睡眠と言うけれど、ウディ・アレンの人生の残りの3分の2弱は映画を作ることに注がれているんじゃないだろうか。

それくらいウディ・アレンは多作だし、人生=映画作り、つまり自分の映画=自分、という図式になっているんじゃないかと想像してしまいます。

そんな映画界の巨匠、変人、偉人であるウディ・アレンの代表作の一つ『ミッドナイト・イン・パリ』について、ネタバレ少なめで書こうと思います。

昔の有名人と友達になれるミーハー的喜び

現代、真夜中のパリ。
0時の鐘が鳴ると、1920年代へと誘う古い車がやってくる。

ハリウッドで脚本家として活躍するギル(オーウェン・ウィルソン)は、タイムスリップした1920年代のパリで芸術や文学の歴史に名前を刻む著名人たちと芋づる式に次々と遭遇する。
ギルと映画を観る者はその度に驚きと喜びに胸が高鳴る。

タイムスリップしたからといって次々に有名人たちと会えたり友達になれるかというと、普通そんなわけはないのだけれど*3、そこはもうギャグであって、むしろ悪ノリにすら近い。

それでもヘミングウェイピカソ、ダリなどの著名人とギルが出会うシーンに興奮するのは、観る者のミーハー心をくすぐるからだ。

ミーハーはぜんぜん悪くない

映画の冒頭、優雅な音楽とともに、ギルらが旅先として訪れているパリの風景を淡々と映していく。

パリは画になる街である。
そしてパリは僕らのミーハー心をくすぐるのに持ってこいの街だ。

映画の終盤でギルはあることに気付き、その気付きこそが、ウディ・アレンが映画を観る者へ伝えたかった一つの大きなメッセージのように受け取れなくもないけど、そんなメッセージは受け取るも受け取らないも自由*4

ジム・ジャームッシュが、ガス・ヴァン・サントが、ウディ・アレンが好きだと公言し映画通ぶるミーハーよ!
それでいい!僕もミーハーです!

なんせ僕もウディ・アレン作品は『アニー・ホール*5』とこの作品しか観ていません。

サム・ライミ監督の『スパイダーマン』シリーズが好きだと公言しながらサム・ライミ作品はこれしか観てないし、クリストファー・ノーラン好きを自称しながら『メメント』も観てません。

おわりに

ミーハーを素直に楽しめたらこの映画はめちゃくちゃ面白いし、細かいことを気にしだしたら欠点に目がいきそうな作品です。

真面目な顔してちょっとズレたこと言っている人を「それズレてない?本当はこうでこういうことじゃない?」と指摘するより、それをギャグと捉えて笑ったり、本当はズレてることこそ本質だということに気付けたりする人生にしていきたいと思っています。

パリに行って雨に降られたいです。

*1:もしかしたらまだキャリアハイが来てないかもしれないと思わせるからこわい。

*2:ネットに書いてた。

*3:タイムスリップの時点で「普通」ではないけども。

*4:正直「役者のセリフでまるごと言葉にしちゃう」というメッセージの直接的な表現技法は映画的じゃないような気がして無粋だな...とか思っちゃったけど、ウディ・アレン先生にそんなこと言うこと自体が無粋なのかもしれない...。

*5:ウディ・アレンの初期代表作。ウディ・アレンが主演も務め、ヒロイン役を元彼女に演じさせて、内容もその彼女との日々を描くという自叙伝すぎてヤバい作品。

お客さんに喜んでもらうために僕がレコ発ライブで工夫したこととその成果

f:id:yui_aochang:20160518123128j:plain

僕がやっているバンドcolor chordのレコ発企画ライブ札幌編と苫小牧編が終了しました。

色んな人に大変お世話になって、盛況のうちに終わった二日間。

この二日間のイベントに対して僕がどう向き合ったか、イベント作りにおいてどういう工夫をしたかについて書こうと思います。

ライブイベントは可能性がいくらでもあって、基本的な流れのテンプレートこそありますが、イベントの色は様々です。

結局はお客さんにいかに楽しんでもらうか、いかに喜んでもらうか、という部分を最大の目的にしてはいるんですが、そのアプローチにおいてやりようがいくらでもある。

この二日間のイベントでどういったアプローチをして、どういった成果があったかを書いていこうと思います。

僕のバンドのことを知らない人も、インディーズバンドのライブがどうやって作り上げられていくのかを垣間見ることができると思います。

始めたてのバンドマンは参考にしたり、先輩バンドマンは助言したりしてくれたら、この記事を書いた意味があるってもんです。

よろしくっす!いくぜ!

そもそもレコ発とは

本題の前にまず、基礎知識の説明にちょっとお付き合いいただきたい!

レコ発とは、多分「レコード発売」の略です*1

「レコ発ライブ」や「レコ発企画」、「レコ発」と若干表記が違う場合も意味合いはほぼ全部一緒で、CDの発売を記念して行われるライブのことです。

「CD発売記念」なのになぜか「レコ発」と呼ばれています*2

せっかく時間と労力とお金をかけてCDを作ったんだから、盛大に発売記念パーティーをやろうぜ、という意味合いのライブのことですね。

お客さんの立場としても、「なんとなく自然とライブでCDを売り始めた」というより、「今日が記念のライブですよ!」と言われた方が、CDを買うタイミングがわかりやすいというのもあるんじゃないかという気がしています。
バンド側としては、予約して発売日に買ってくれるのもとてもうれしいんですけども。

「レコ発ツアー」とか「リリースツアー」となると、レコ発を冠して各地を回ることを指します。

日本各地に友達ができると楽しいし、何度もライブに足を運んでくれるお客さんが増えるとまた行きたくなります。

「自主企画」という言葉があれば、それはレコ発の主役バンドがライブを主催しているということです。

ライブハウスを決めたり、他の出演バンドを決めたりもバンドがやっているということですね。

自分で自分のお祝いパーティーを主催するという点では結婚式みたいなものですね*3

ちなみに、今回のcolor chordのレコ発は、今年3月に全国発売した『くらし』というアルバムのレコ発でした。

全国流通について書いた記事もあります。

yui-aochang.hateblo.jp

基礎知識は以上です。
それでは、実例を交えてご紹介します。

ホーム札幌の自主企画で、他とは"ちょっと違う"イベント作り

f:id:yui_aochang:20160518123052j:plain

5月13日(金)に札幌REVOLVERでレコ発を行いました。
この日は自主企画なのでライブに関するほとんどのことを自分で決めました。

せっかく自分で色々決めれるということで、お客さんに楽しんでもらうようにいくつか工夫をしました。

少ないバンド数でたっぷり贅沢なライブ

まずこだわったのはバンド数。

出演するバンド数を4組にして、一バンドの持ち時間を35分ずつにしました。

僕らがたまに出るようなライブハウス主催のブッキングだと、持ち時間25分で6バンドくらい出演というパターンが多いのだけど、この企画は僕の大好きな札幌のバンド3組と自分のバンドの計4組。

一バンドずつの時間を長めにすることによって、バンドの魅力をより深く体感できるライブにしようという狙いでした。
たっぷり贅沢なライブという感じです。

ちなみに出演したのは「青空教室」「スモゥルフィッシュ」「Os Banda」という札幌の素晴らしいバンドたち。

どのバンドも個性があって、もっともっと聴きたくなるくらいグッとくるライブでした。

35分でも短かったかーと思ってしまいましたが、でも長すぎてもイベントを通しで観たときに疲れちゃうし、「もっと聴きたい!」くらいが一番ちょうどいいという話もあります。腹八分。

演奏中以外も飽きさせないDJ&サプライズアクト

オープンしてからスタートするまで、そして転換中にもお客さんに楽しんでもらおうということで、DJをお願いしていい感じの曲をかけてもらいました。

普段は「エマローズ」という名義で弾き語りをしている「DJ過保護」。

みなさんが想像するようなクラブのアゲアゲDJではなく、DJが淡々とセンスのいい曲を繋いでいくことによって、演奏中以外の時間の空気作りをしてもらうという感じでした。

僕が知らないような、マニアックだけど超かっちょいい曲をたくさんかけてくれて、良い雰囲気の中イベントが進んでいきました。

バンドの演奏が終わって、次のバンドの準備中にどんな曲がかかるかで会場の雰囲気が結構変わったりするので、何気にイベントを左右する部分でもあるんです。

無意識のうちにお客さんは空気を感じ取っていたり、または意識的に「この曲かっこいい!」となったり、転換中というのもイベントに含まれているなと感じます。

そして1バンド目が始まる前のオープン中の時間には「エマローズ」として弾き語りもしてもらいました。

エマローズの出演はイベント当日に急に発表しました。
こういう突発的なアクトがあるとテンション上がったりしませんか。

めちゃくちゃ良く言うと、フェスとかでスカパラのライブに急に甲本ヒロトとか奥田民生が出てきたらテンションが上がるような、そんなサプライズのイメージです。

オープン中に始めてもらうことによって、その時間を目指して来てくれるお客さんも増えるので、イベントの頭からそこそこお客さんが入っている状態も作れました*4

実際エマローズはめちゃくちゃ良いライブをしてくれて、イベントは最高の滑り出しを見せました。

来場者全員に記念品をプレゼント

お客さんみなさんにサイン&格言*5入りポスターをプレゼントしました。

今日のイベントの記念として、モノを持ち帰ってほしいなという気持ちでした。
結婚式でいう引き出物みたいなものですね*6

当日急にプレゼントすることにしたので荷物になっちゃって申し訳ないかなとも思ったんですが、部屋にポスターを貼った写真をTwitterにアップしてくれている方もいたので、少なくとも喜んでくれた人もいたみたいです。よかった(ホッ)。

この日と、その翌日の苫小牧公演の2日間は来場者全員にポスターをプレゼントしました。

普段は観れないスペシャル編成でのライブ

僕らcolor chordはドラム、ギター、ベースボーカルの3人組のバンドなんですが、この日はTHE武田組*7のキーボード山本裕太郎くんをサポートに迎えて4人編成でライブをしました。

3人のシンプルなアンサンブルにピアノやオルガンの音が増えると、曲に彩りが増して、より艶やかに、より上品になりました。
初めて聴く人にも曲がわかりやすく、伝わりやすくなったんじゃないかとも思います。

アンコールの曲では、間奏を普段の4倍くらいの長さに延長してギターと鍵盤でソロ対決をしてもらったりして、このメンバーならでは、ライブならではの演奏も披露できました。

音が増えれば増えるほどいいってもんじゃないけど、普段と違う編成だといつもライブを観てくれている人には新鮮に聴こえて面白いかなと思います。

めちゃくちゃ良く言うと、ハナレグミのバンド編成ライブに原田郁子がキーボードで参加してたらテンション上がる感じです。

山本裕太郎くんには翌日の苫小牧公演にも参加してもらいました。

人の力を借りて、自分の範疇を超えるイベントとなった苫小牧公演

f:id:yui_aochang:20160518125115j:plain

札幌公演の翌日5月14日(土)は苫小牧ELLCUBEでのレコ発。

北海道第二のホームである苫小牧ではいつもELLCUBEにお世話になっています。

拠点の札幌以外にホームがあるというのはとても心強いです。
このレコ発は、出演バンドを決めるブッキングから、何から何までをELLCUBEにお任せしました。

ジャンルかぶりなしのバラエティに富んだお祭りイベント

出演バンドは前日の倍の8組。

前日は出演バンドが少なかったので、こちらは敢えて出演バンドを多くすることで二日間のイベントの方向性に違いを出しました。

打ち込み・エフェクターを使う弾き語りや、シンプルなアコースティックデュオ、ラウドな4人組ロックバンドや多彩な音色を使い分ける4人組バンド、エレクトロニカなデュオや3人組シューゲイザーバンドなど、様々なジャンルがごちゃまぜになったイベントでした。

8組も出演して1組もかぶりがないなんていうのは、狙ってやらないとできるもんじゃないと思います。
音楽性を近づけてイベントの色を濃くするというよりかは、敢えてジャンルをばらけさせてバラエティに富んだお祭りという感じです。

8組出演の長丁場となると最後の方は疲れてきたりもするんですが、それでも飽きることなく最初から最後まで聴いていられたのは、出演バンドの力量ももちろんのこと、ジャンルがバラバラだったからというのも作用していると思います。

自分でブッキングをしないから出会いがある

出演バンドはほとんど知っているバンドばかりではあったんですが、初めて共演するバンドも出演していて*8、そこでバンドと知り合うこともありました。

7年ぶりくらいに共演するバンドがいたり、苫小牧でよく共演するお馴染みの面々もいたりと、共演バンドの親密度の幅も合って面白味がありました。

共演者同士の関係性については、お客さんからしたら一見関係なさそうな部分ではあるんですが、そういうバンドの関係性がイベント全体に影響を与える部分も実は大きかったりします*9

color chordを中心に考えさせてもらっていますが、そういう意味でもバランスがよかったなと思いました。

最後のアンコールとかは身内ノリの愛のあるワイワイ感もちょっとあって、でも基本は馴れ合っていない感じでイベントが進んでいてクールでした。

企みに乗っかって楽しんじゃおう

こんな感じで二日間のイベントを行いました。

良かれと思ってやったことがハマらなかったり、狙いどおりにいかなかったりすることもあるんですが、ライブイベントはだいたい主催の「お客さんに楽しんでもらいたい!」という思いによってできています。

今回はやらなかったけど、会場をオシャレに装飾することによって特別な空間・時間を提供しようというイベントもあれば、プロジェクターを使って煽りVTRを流したりするイベントもあります。

お客さんの立場としては、もちろん自由に楽しむのが大前提なんですが、主催が用意したおもてなしを存分に楽しむ、存分に乗っかるというのがイベントを楽しむコツだとも思います*10

もし気が向いたら、もし思い出したら、そんな主催の企みに一度乗っかってみてください。
きっとライブの新たな楽しみ方が見えてくると思います。

おわりに

f:id:yui_aochang:20160519102141j:plain

そんな僕がやっているcolor chordのレコ発ツアー関西編が6月頭にあります!

6/3(金)京都二条Live House nano
6/4(土)大阪梅田HARD RAIN

お近くの方はよかったら遊びにきてくださいね~!
結局宣伝で終わるのかよ!ってやつです~!

『くらし』SPECIALページ

はてなブックマークもよろしくお願いします!

*1:どの業界にもある「慣例的に使われていて、本来の意味を考えることが放棄された言葉」の一つと考えていいでしょう。

*2:「C発」だとかっこ悪いから旧来の「レコ発」をいまだに採用しているんじゃないでしょうか。

*3:ちょっと違うか。

*4:インディーズバンドがたくさん出演するようなイベントだと、イベントの頭の方はお客さんが少なくて、後半どんどん増えてくる、という現象が起きがちです。

*5:「食べ放題で元を取ろうとするな」とか、しょうもないけど真理を突くやつ。

*6:引き出物でポスターもらったら嫌だけど。

*7:道新ホールという収容人数700人のホールでワンマンライブを去年成功させ、今年も開催予定というモンスターバンド。ライジングサンロックフェスにも2回は出てるはず。

*8:メンバーの一人がcolor chordのことを好きでいてくれたバンドや、こちらが一方的にずっと聴いていた先輩バンドとも初共演でした。

*9:マジで知らないバンドしか出てないと殺伐とするかギクシャクするし、マジで仲良すぎるバンドしか出てないと良くも悪くも身内ノリになりがち。

*10:会場装飾があれば細かく見てみたり、転換中に流れている曲に耳を傾けてみたり。

僕がCDを全国流通させた理由とその方法

f:id:yui_aochang:20160511213928j:image

僕がやっているバンドcolor chordのミニアルバム『くらし』が2016年3月9日に全国発売になりました。

バンド初の全国流通。
僕個人としても初めての全国流通です。

バンドが動き出してから丸8年、バンドメンバーと仲間内の5人だけでレーベルを設立し、全国流通でCDを発売しました。

なぜ今このタイミングで全国流通という手段を選んだのか。
その理由と方法を、バンドの歴史や状況も踏まえつつ書こうと思います。

インディーズバンドの内情や、全国流通の仕組みに興味がある方は是非ご覧ください。

全国流通ってなに?

全国流通というのは、CDを全国の大手CD屋さんで買えるようにすることです。

大手CD屋さんとはタワレコHMVヴィレッジヴァンガードディスクユニオンなどですね。
これはおまけですが、AmazoniTunesなんかでも一括で取り扱ってくれたりもします*1

僕らのようなインディーズバンドは、全国流通をしていないバンドの方が多いです。

店舗に営業をしたり実際に商品を納品したりする流通業者(問屋のようなもの)を介さなければ全国流通はできないからです。

流通業者とバンドが直接やりとりをする場合もありますが、多くはバンドが所属するレーベルが流通業者とやりとりをします。

バンドが所属するレーベル or やる気のあるバンド → 流通業者 → 全国のCD屋さん
というのが全国流通をする際の流れです。

それ以外の多数のインディーズバンドが取っているCD販売方法が、ライブ会場での直接販売。
それに加えて自分のバンドのサイトで通販をやったり、個人経営のCD屋さんやウェブショップでCDを取り扱ってもらうという方法もあります。

これが全国流通と、そうでない場合のCDの売り方です。

なぜ今、全国流通をしたか

まず最初に、なぜ今CDを全国流通でリリースしたのかというと、シンプルに、全国流通というアイディアが出てから最短のタイミングが今だったからです。

林修先生の「今でしょ」は物事の真理なんじゃないかと僕は思っている節があるんですが、やった方がいいこと、やりたいことがあったら、それをやるタイミングは今なんじゃないかと思うのです。

小さくちまちま活動していても、チャンスがいつやってくるかはわかりません。
それならチャンスを作ればいいと思ったんです。

そう思い、レーベルを立ち上げて、自主レーベルで自分のバンドのCDを全国流通しました。

それでも物事にはタイミングというものがある

この2016年3月というのがcolor chordにとって全国流通でリリースするタイミングとしてベストかというと、全然ベストではなく、むしろ悪いくらいでした。
完全にタイミングを逃してしまっていた。

ではいつがベストだったかというと、それは2013年の秋ごろだったと、今となっては思います。

2013年8月、color chordはUSインディーバンドDawesのカバーコンペティションで優勝をし、アメリカを中心とした北米圏でちょっとした賛否両論を巻き起こしました*2

DawesのオフィシャルFacebookページのコメント欄で酷く罵倒されたり震えるほど絶賛されたりしました。
どちらも強い感情でうれしかったです。

www.facebook.com

札幌の僕らの知り合いのバンドマンやその界隈の方たちにも「color chord、やってんな」という印象を与えられたし、「世界規模の大会で優勝」という情報はインパクトがあります。

その鮮度が残っているうちに、バンドの勢いが感じられるうちに、遅くても2013年内に新譜を出しておけばタイミング的にはよかったのだろうなと今となっては思います。

でもそういうことって過ぎてからじゃないとわからない場合が多くて、実際今回リリースをしてみてから「今バンドの勢いないな!」というのを実感したりしています。
そうです。ものすごくぶっちゃけています*3

リリースのタイミングが大事ということを勉強できたのも、今回のリリースの成果だとすら思っています。

ヤバいでしょ。こんな初歩的なことすら人って忘れてしまうのです。人は悲しいくらい忘れてゆく生き物なんです。

それでも後悔はしていなくて、このタイミングでリリースをしてよかったと思っています。

タイミングが大事だということを勉強できたのと同時に、リリースに付随する様々なことを当事者として経験することで身をもって学ぶことができたからです。

そして色々な可能性が広がっていくのを感じることもできました。

そもそもなぜ「全国流通」を選んだのか

タイミングの話ばかりしてしまいました。
全国流通という手法を選択したそもそもの理由について書きます。

全国流通でリリースした目的は、「これで一発当ててやろう」なんていう夢見がちなものではありませんでした。

もちろんドカンと売れたらそれはうれしいけど、そんな理由なく急に売れるなんて思えない。
売れてる人は何らかの理由があるはずです、音楽が良いということ以外に。

業界に詳しくて、マーケティングに精通していて、各方面にコネがあるなら別ですが、そのすべてを持たざる僕たちが全国流通をしても売れるとは思えません。

それでも何かを変えたかった。
何かを変えるために無理くり全国流通してみようじゃないか!と思いました。

バンドをなんとなく続けていって、誰かがバンドに何かをしてくれるのを待っているだけだと、それはいつ訪れるのかわからないなと思ったんです。

とにかくバンドが外に広がる可能性のある大きな手を打とうと思いました。

自分から仕掛けていって失敗したら、失敗した分だけ勉強になるし、また次挑戦したときにもうちょっとうまくやれるんじゃないかと思ったんです。

バンドと世間の繋がりに対するカンフル剤としても、バンドという生き物自体への刺激としても、何か大きなことをしなければならないと思ったんです。

全国流通をしたら、失敗と成功がたくさん舞い込んできた

実際全国流通をするにあたって色んなことに挑戦して、たくさん失敗しています。
その度にたくさん勉強になりました。

流通会社の人と100通以上メールをすることで、得意じゃなかったビジネスメールがどんどん上手くなっていきました。

失礼なメールを送ってしまったこともありましたが、担当の方のメールを真似することによって基本的なメールの作り方を学び、慣れてきた頃には形式にこだわりすぎるよりも気持ちが大事だということがわかったりもしました。

お店への挨拶回りも20店舗以上行きました。

最初は緊張して伝えるべきことを伝えきれなかったんですが、徐々に緊張を楽しめるようになってきて、笑顔で相手とちゃんと会話をすることが大事だということがわかってきたりもしました。

CDジャケットや歌詞カードのデザイン、フライヤーやポスターのデザインなどをすることによって、全然使えなかったイラストレーターがめきめきと使えるようになっていきました。

そして決断することが前より得意になってきました。

リリースに向けて決めるべきことがたくさんあるので、決断の決め手となる情報を収集したり、メリットデメリットを天秤にかけたりしました。

決断することは今も怖いですが、色んな決断をすることによって以前より少しは得意になってきたような気がしています。

何もない状態から見よう見まねで挑戦することで、失敗と気付きを繰り返して少しずつ前進してきました。

某有名フリーペーパーや北海道の某有名企業からバンドのアカウントに急にメールが来たりもして、自分の力だけでどうにかできる範囲外からのうねりを感じることもありました。

CDジャーナルから急にメールが来て、今月号に小さく載せてもらったりもしています。

www.facebook.com

https://www.facebook.com/colorchord/posts/1020138668068640

世の中と繋がることの可能性を感じた

少しずつですが、北海道滝川市の実家でちまちま曲を作っていただけだったcolor chordが、世の中との繋がりを広げつつあることを感じています。

そういった広がりを持つことによって、今まで届かなかった人にまでcolor chordの存在を、音楽を知ってもらうきっかけになるんじゃないかと思いました。

全国流通をすることによって、バンドと世間との繋がりを広げていき、color chordを好きになってくれるかもしれない人により多く、より広く響かせたいというのもねらいでした。

そしてそれは、まだまだこれからやっていかないといけないなと思っているところです。

全国流通をする方法

「全国流通した」と、さも簡単にできるかのように言っていますが、流れとしてはとてもシンプルです。

音源と資料を流通業者に送るだけです。

そこで審査に通れば流通はできますが、そこから最低限決めることだとか、最低限やらなきゃいけないこと*4だとかでなんだかんだ大変、ということです。

この「なんだかんだ」が結構死ぬほど大変です*5
その覚悟さえあれば割かし全国流通自体のハードルは低いと思います。

僕は平日の仕事が終わってからリリースに関する作業(結構広義だけど)を4,5時間やって、4,5時間睡眠、休日はその分たっぷり寝るけどやっぱり4,5時間作業する、というのを100日くらいやりました。

これにはミュージックビデオ関連のこと*6とかデザイン関係、リリースツアーのこと*7とかも含まれているし、そのすべてを自分でやろうとしたちょっと特殊なケースなので、もうちょっとお金をかけて人に依頼したりすればある程度楽もできると思います。

でも僕みたいに全部背負っちゃうとマジで地獄です。

自主レーベルだと自由です

ちなみに、地獄の対価として僕らは自由を手に入れました。

当事者以外の大人が関わっているリリースには色んな制限があったりすると思いますが、僕らは何の制限もなく好き勝手やっています。

大人がお金を出してくれる場合は制限がある代わりにお金をかけてレコーディングしたり、CDのパッケージを豪華にしたり、宣伝をしてくれたりするかもしれませんが、僕らはお金がない代わりに制限がないので大事なジャケットの画像をご飯にしたり、ミュージックビデオを7本撮ったり、レコーディングに1年半かけたり好き勝手できます。

これは良し悪しなので色々考え方はあると思いますけど、自由なのも辛くて楽しいです。

逆に制限された環境でやったことはないので、制限されるという経験をしたくもあります。

お金を出して僕らを制限してくれる大人の方がいたら是非お声をかけていただきたいです(わがまま言うと思いますが話し合いましょう)。

おわりに

全国流通をしたインディーズバンドの内情というか、くすぶってる奴の葛藤を暴露しただけのような気もしますが、全国流通の意義と方法はなんとなくわかっていただけたでしょうか?

このままじゃいられない!何かを変えたい!というバンドやミュージシャンは、全国流通という方法でもがいてみたら何か変わるかもしれませんよ。

もし周りから見てあんまり変わらないように見えても、たくさん頑張れば自分が変わります。あと、結構面白いです。

最後に、ここまで書いたから宣伝だけさせてくださいね!

気になった方はCD買ってください!
あれだったらミュージックビデオだけでも観てってくださいね!

www.amazon.co.jp

『くらし』SPECIALページ

はてなブックマークもお願いします!

*1:このあたりはちょっと頑張れば個人でもできます。逆にタワレコなどは頑張っても個人じゃほぼ受け付けてくれない。

*2:本当にちょっとですがDawesファンにはある程度知られたのではないかと思われます。

*3:ちなみに音楽的成熟度とライブの完成度は今が一番高いんですが、それとバンドの勢いはまったく別物です。バンドの勢いは「周りからバンドがどう見えているか」という部分が大きいです。

*4:質問したら全部流通業者の人が教えてくれるので何も知らなくてもダイジョウブ!

*5:最低限やらなきゃいけないのはCDを作ること(レコーディング、ミックス、マスタリングをした音源とジャケットデータと歌詞カードデータ、帯データなどを用意してCDプレス業者に発注。超大変)、商品番号や価格・発売日の設定、業者によってレンタルの有無だとかiTunesの価格を決めたり細かい決めることたくさん、キャッチコピーとか宣伝系の文章作成、店舗に事前に配るサンプルCDとその資料作成、などなど諸々。それ以外にレーベルとしての仕事が色々あって、フライヤーやポスターの制作はもちろん、宣伝するためにメディアに資料送りまくったり、サイト作ったりなんだかんだします。

*6:今回のアルバムは7曲入りで7曲ミュージックビデオが特典でついてくる、というものでした。そして7本すべてをレーベルのチームで制作しました。ちなみに僕はほとんどの監督と編集をやりました。

*7:2日間行われた東京公演のうち1日は自主企画だったため、会場を押さえて出演バンドにオファーをして、タイムテーブルの作成やチケット代の設定、フライヤーの制作・発注、飛行機のチケットの予約などなど、なかなか大変でした