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裸眼日記

color chord(バンド)とSFレコーズ(レーベル)を主宰するあおやなぎゆいが音楽・映画・お笑いなどについて書くブログ(両目1.5)

ディープな札幌!今週末の注目イベント2つ

遊びに行ってきた

出張や観光でたまたま札幌にいる方や、札幌に在住の方にもオススメな今週末(2016/07/22〜24)の札幌のディープなイベントをご紹介します!

というのも、僕が強く「行きたい!」と思うイベントが今週末に2つあったので、せっかくですし皆さんにも情報のおすそ分けをしようと思ったわけです。

今週末と言い切っちゃってますが、毎年恒例のイベントだったりもするので来年にも応用できます*1

興味があったり時間があったりする方にオススメのディープな札幌のイベント2つ、まず最初はこちら。

カルチャーナイト2016

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公共施設や文化施設、民間施設を夜間開放し、市民が地域の文化を楽しむ行事

というのがオフィシャルサイト*2から引用した「カルチャーナイトとは」の説明文です。

具体的には以下のような感じです。

  • テレビ局のニューススタジオを見学できたり、アナウンサーの疑似体験ができる
  • 普段は有料の美術館や時計台の入場料が無料になる
  • 普段は解放されていないテレビ塔の非常階段352段を展望台から3階まで下るという謎イベントが開催されている(有料)

こういったスペシャルなイベントが札幌市内102ヶ所(!)で一斉に行われます。

本日開催!

開催日時はなんと本日7月22日(金)の17:30〜22:00(施設により時間は異なる)。

僕もこのイベントの存在を知ったのが昨夜のことだったので、急遽この記事を書いています。

僕の場合、今日の19時から夜中まで用事があるので、17〜19時の間にいくつか観て回りたいなと思っています。
会場がなんせ102ヶ所もあるので、近場の面白そうなちょっと会場に行ってみる、なんていう楽しみ方もありますよね。

カルチャーナイトというだけあって夜に開催されているのが肝で、普段は夕方に閉まる美術館などの施設に夜入れるというのも粋だと思いませんか。

オススメ施設①「札幌管区気象台

このイベントの存在を教えてくれたカルチャーに造詣の深い友達の那須さん*3が毎年行っているというヒップな施設(イベント)をご紹介します!

まずは「札幌管区気象台」。

津波などに関する実験やビーズでの工作をする「お天気教室」や、気象に関する様々な実験も面白そうですが、メインのイベントは「高層気象観測の公開」。

上空の気温や風を観測する機器を気球で飛ばすイベントらしいです。

料金もかからず申し込みも不要のこのイベントは毎年たくさんの人が集まり、さながらお祭りのようになるらしく、カルチャーナイトのハイライトの一つとなることは間違いなし!

とか言いつつ僕は行ったことないし今年も行けません!

気球を飛ばすのをみんなで見るイベントって、めちゃめちゃシュールな画が想像できますが、とても興味があります。
来年は行きたい!

オススメ施設②「三岸好太郎美術館」

どの施設でどんなイベントがやっているのかをオフィシャルサイトで見ていると、お子さんと一緒にご家族で楽しめるようなものだったり、友達と複数人で行きたいようなイベントが多くあるように感じるんですが、今回の僕のように限られた時間でチャッと行ってチャッと帰りたい場合はなかなか人を誘いづらいですよね。

そんなお一人様でも楽しめる施設をまたしても那須さんにオススメしてもらいました。

それが「三岸好太郎美術館」です。

札幌出身の画家である三岸好太郎さんに関する資料や作品が展示されている美術館で、普段は一般510円かかる観覧料がカルチャーナイト当日は無料!

実際には510円が浮くとかそういう問題じゃなく、観覧料が無料になるというこのお祭りのタイミングで観に行くというのが、気持ち的に高まりませんか*4

三岸好太郎美術館は、観覧が無料の他にも、地元の大学の美術学部の学生が似顔絵を描いてくれるというイベントや、マリンバ・デュオのミニリサイタルも行われます*5

しかもこれらのすべてが無料!
フェス感がありますね。

三岸好太郎美術館を楽しんだあとは、歩いてすぐの知事公館や北海道立近代美術館もカルチャーナイトの会場となっているので、はしごするのも楽しそうですね。

カルチャーナイトまとめ

このような雰囲気で、札幌中の施設が面白イベントを繰り広げています。

一つの施設でいくつかの企画を用意しているのもフェス感がありますし、参加施設の数がなんといってもフェス感がありますね。

そんなカルチャーナイトですが、札幌に住んで7年目の僕でも昨夜まで存在をまったく知りませんでした。
規模が大きい割には、意外と認知度がないのかなという印象です。

毎年行われているみたいなので、今年行けなかったという方も来年以降参加してみてはいかがでしょうか。

さらに言ってしまえば、このイベントに参加している施設一覧のページを見れば、カルチャーナイトとは関係ない日でも札幌観光のガイドマップになり得ます。

もちろんカルチャーナイトでしか行われていないイベントは多いですし、そもそも普段は入れないような場所が会場になっていたりもしますが、三岸好太郎美術館や近代美術館などはいつ行っても面白いと思います。

SAPPORO GUITAR FESTA 2016

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今週末に行われる札幌のディープなイベント2つめは「SAPPORO GUITAR FESTA 2016」です。

札幌の街がギターで埋め尽くされる!
有名ギター・ブランドが一堂に集結!
ギター・ベース約1000本展示!
気に入ったギターはその場で購入OK!
ギターにどっぷり浸かれる夢の2日間!

またしてもオフィシャルサイト*6からの引用です。

内容はほとんど引用した通りで、サッポロファクトリーホールというイベントスペースを使って行われるギターの祭典です。
有名ブランドのギターがたくさん展示されていて、その場で即購入もOKというギター好きのためのイベントです。

札幌の他にも名古屋と福岡でも行われていて、去年も同じ会場で行われていた記憶があるので、一年に一回ペースで全国を回っているのだと思います(多分)*7

日時は7月23日(土)、24日(日)の2日間。
初日11:00~20:00、二日目10:00~17:00と結構長い時間やっています。

出演アーティストが超豪華

面白そうなイベントですが、正直僕はたくさんのギターに囲まれてテンションが上がるタイプの人間ではありません。

バンドこそやっているし、ギターも弾くけれど、ギター自体に興味があるというよりかは、音楽の方に興味があります*8

なのでこのイベントに最初はあまり興味がなかったんですが、どうやら有名ギタリストによるライブがあるらしいのです。

そしてその出演者がとても豪華なんです。

高田漣

ここで出演アーティストの一般的な紹介をしてもしょうがないので、僕の個人的な期待の理由について述べますね。

高田漣さんは高田渡さんの息子としても有名ですが、僕が高田漣さんのライブを観たのはくるりのサポートでした。

くるりのサポートでスティールギターを弾いたり、ハナレグミのバックバンドでスティールギターを弾いたり、細野晴臣のスリーピース編成でのライブでエレキギターを弾いたり(ドラムは伊藤大地さんでした)、各所で抜群のギターを弾くのが高田漣さんです。

くるりのライブは今まで10回以上は観ていますが、当時高田漣さんがバンドに参加しているのをリハーサルやセッティングの様子でわかるとそれだけでテンションが上がります。

バンドの楽曲の美味しい部分を、その旨味を極限まで高めるギタープレイに僕は虜になっています。

弓木英梨乃

去年のRISING SUN ROCK FESTIVALで初めてキリンジのライブを観ました。

メインボーカルだった堀込弟が抜けて、新たにたくさんメンバーが入ったけどバンドとしてどうなのかな、なんて思いながらの初めてのキリンジのライブは、楽曲の素晴らしさを存分に引き出すバンドとしてのまとまりに感嘆しました。

去年のライジングの僕にとってのベストアクトの一つ*9であるこのキリンジで一際「うめえなおい...!」と思わされたのがギターの弓木さんでした。

プレイがとても丁寧で正確ではあるんですが、特に右手のピッキングが素晴らしいんです。

圧倒的安定感の右手、その上で目立つべきところでは良い音色に音量でしっかりと目立つ。

そんな完璧なプレイをしつつも笑顔を振りまく弓木さんは日本の若きギタリストの中でも頭一つ飛びぬけていると思います。

SAPPORO GUITAR FESTA 2016まとめ

他にも浅野孝已(ゴダイゴのギタリスト)、岡崎倫典といった大御所ギタリストも登場します。

超絶ギタリストたちのプレイをギターに特化した形で観れるチャンス、いったいどういう形態でのライブになるのかわからないのが少しこわくもありますが、貴重な経験になることは間違いないでしょう。

出演時間についてはオフィシャルサイトで明記されてるので興味のある方はチェックしてみてください!

おわりに

知らないだけで、密かに行われているディープなイベントって、実は頻繁に開催されているのかもしれません。

カルチャーナイトなんて、結構大きい規模で毎年行われているのに今まで知らなかったのが不思議です。

今週末のイベントについては実際に行った感想を後日書こうと思います。

足を運ばれる方は会場でお会いしましょう。それでは。

*1:半分来年の自分のために書いてるみたいなところもあります。

*2:http://www.culture-night.com

*3:カスタネットというクールなお店をやっています。要チェック!http://www.castanet-jp.com

*4:人の多すぎる美術館は見づらいという側面もあるはあるのですが。

*5:リサイタルは毎年内容が違うみたいです。過去にはギター・デュオのコンサートもあったとか。

*6:http://www.guitarfesta.com/#!sapporo/o286g

*7:去年は友達が会場でウン十万円のギターを購入していました。決断力すごい!

*8:もちろんギター自体も人並みには好きですが、楽器屋さんで何時間も時間を潰せる感じじゃないです。

*9:ceroもヤバかった...!なのでベストアクトはceroキリンジです。

衝撃的な出会い。奇跡のバランスで成り立つバンド「くじけな」

好きなバンド バンド/音楽How to

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久しぶりに衝撃的なバンドに出会いました。

僕は札幌在住のバンドマンなんですが、バンドのミニアルバムのレコ発ツアーで関西を回っていた2016年6月4日、大阪梅田のHARD RAINというライブハウスでそのバンドと共演しました。

そのバンドの名前は「くじけな」。

何が衝撃だったかというと、それはバンドが持つ要素の絶妙なバランス感覚です。

簡単に説明するのは難しいのですが、僕がグッときた、そのバランスを構成する要素を書き出すことによって、バンドの魅力や僕がなぜ衝撃を受けたかを伝えたいと思います。

バンドをやっている人は割と理解しやすい話だと思いますが、バンドのことをよく知らない人にも伝わるように努めて書こうと思います。

「くじけな」の基本的な情報

メンバー編成はギターボーカル(男性)、ベースコーラス(女性)、ドラム(女性)の3人組。

バンドの音楽性は、大きなくくりでいうと、ロックンロールやパンクといったジャンルに属します。

あくまでポップで聴きやすく大衆性を持ったその音楽性は、音楽マニアじゃなくてもスッと入ってくると思います。

RCサクセション↑THE HIGH-LOWS↓THEピーズといったバンドたちの延長線上にいるような、そんな日本のロックバンドです。

こう書くと普通のその辺にいる良いバンドのような気がしてくるのですが、くじけなは絶妙なニュアンスでアイデンティティを持っています。

本題に入る前の前置き(重要)

まず前提として理解していただきたいのが、僕はくじけなのことが好きだということです。

ライブを一度観ただけなので、あくまでその一度のライブ*1から得たことしかわからないのですが、僕が彼らの虜になるためにはその一度のライブ体験で充分でした。

この前提はかなり大事なので、理解した上でこのあとに出てくる要素を噛み締めてください。

視覚から得られる情報にグッとくる

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音楽は耳で聴くものですが、ことライブに関しては、目の前のミュージシャン本人のプレイを目で楽しむということも大きな要素になります。

くじけなの魅力を語る上で、視覚から得る情報は欠かせない要素となっています。

高価な機材を使っていない

くじけなは多分(あくまで多分ですが)、価格の高い機材*2を使っていません。

一つひとつ見ていけば、もしかしたらそれなりに高い機材が出てくるかもしれないんですが、パッと見では安い機材ばかりが目に付きます。

ギター本体は覚えていないのですが、足元のエフェクター*3はほとんどBOSS*4

4個中3個BOSSみたいな感じの足元で逆にそれがグッときます。

そんなギターの方が使っているギターストラップ*5はアーニーボール。

僕も同じストラップを昔使っていましたが1000円くらいの超安いものです*6
安くても普通に使えて、何の問題もないんです。

ベースの方が弾いているベース本体も、まるでリッケンバッカー*7のような見た目なんですが、少し形が違う。

僕が知らないだけで、あの形のモデルもあるのかもしれないけど、おそらくあれはリッケンバッカーを似せて作った別メーカーの安めのベースなんじゃないかと思っています。
事実の確認は取ってませんが、僕の気持ちとしても、リッケンバッカーの類似メーカーの安いベースであってほしいんです。

ドラムの方の機材はいよいよ見えていなくて全くわからないのですが、うん十万の機材は使わず、数万円のスネアとキックを使っていてほしいものです。

なぜ安い機材を使っていることに僕がグッとくるかというと、それはその姿勢に潔さを感じるからです。
そしてそれがバンドの持つ精神性を端的に現すことになるからだと思います。

NHK交響楽団には高級な機材を使ってほしいし、セックスピストルズには安価な機材を使ってほしいというような願望でしょうか...。

ステージ上での振る舞い方がいい

ギターボーカルの方は前を見て歌いません。

一般的に、バンドのボーカルは前を見て歌うのが基本です。

曲を通してお客さんと繋がろうと考えたときに、バンドのボーカルはお客さんの目を見たり、身振り手振りで煽ったり、真っ直ぐ前を見て歌うことでメッセージを伝えようという意思を表現します。

しかしくじけなにおいては、ボーカルの方が前を見て歌うことはほぼなく、印象として残っているのはギュッと目を閉じて歌っている姿です。

おそらくは自宅に一人で*8ああでもないこうでもないと試行錯誤しながら作ったであろう渾身の曲たちを、振り絞るように、発散するように、ギュッと目を閉じて歌うのです。

商業的なステージパフォーマンスとは真逆にあるその刹那的な、命の炎を燃やすように歌うその姿がくじけなを視覚で捉えることの意義です。

特別歌が上手いわけでもなければ、無茶苦茶に絶叫するわけでもない。

おそらくは一人で原案を作り、バンドで練り上げたであろう楽曲を、ただただ丁寧に再現しよう、その上で思い残すことなく力を出そうという気持ちが感じられてグッときます。

視覚だけでなく、音楽的にもグッとくる

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くじけなは視覚的にも魅力がありますが、そうは言ってももちろん音楽ありきです。

音楽面の魅力を紹介します。

曲がいい

何といってもここ。曲がいい。

曲がいいからすべてがプラスに転じているのです。

普遍的でわかりやすいシンプルなメロディにコーラス、シンプルなバンドアンサンブル。

一度聴いただけで曲の意味や流れを理解できるし、覚えやすい。

曲がキャッチーであることはバンドの間口も広げるし、僕は単純にキャッチーな曲が好きです。

ギターソロがチープ

機材が安いということは音がチープになりがちです。

豪華絢爛な音はもちろん魅力的ですが、くじけなの音のチープさ*9は、その曲調とマッチしていてグッときます。

特に曲の間奏で登場するギターソロにグッときます。

一般にギターソロでは、ギターの音を際立たせるためにエフェクターで音を大きくしたり派手にしたりします。

くじけなも例に漏れずギターソロでエフェクターを踏むのですが、そのエフェクターによる音の変化具合も特徴的です。

かなり大胆でわかりやすい、耳に痛くはないけど誰の耳にも「ギターソロだ!」とわかるガコッとした音色と音量*10、さらにその音で超シンプルなフレーズを弾くんです。

メロディラインをそのままギターで弾く感じで、音数も少ないし、休符も恐れない。

超速弾きをしなくても、バリエーションに富んだフレーズを用いらなくても、人の心を動かすギターソロは弾けるんだぜってことを物語っていました。

そのバランスがバンドの色を決めている

前情報も何もない状態の初見のライブでまんまと僕の心が動かされてバンドに魅了された理由は、上に書いたような様々な要素が絶妙なバランスで組み合わさっているからだと分析しました。

高くない機材でチープな音(潔いフレーズ)、素朴なステージングでありながらグッドメロディでキャッチーなロックをやっている。
その組み合わせが絶妙だし最高です。

曲が良い、歌詞が良いこと*11はもちろんなのですが、その音楽性と演者の見た目*12、音楽的にどうアレンジしてどんな音で表現するかということによってバンドの見え方は大きく変わります。

おわりに

上記のようにくじけなの魅力を、そのバランスと、構成要素に焦点を当てて書きましたが、曲の根幹部分やアレンジが素晴らしいという時点で、そのバンドの持つバランスが少しずつ変わっていっても、トータルで良いバンドで居続けるんじゃないかとも思っています。

くじけなは現時点で奇跡のバランスを保っていますが、これから高い機材を手にしたら手にしたで、それにあった曲を作ったり、それにあった音に変わったりしていくんじゃないかとも思っているんです*13

くじけなを観た時と同じような感覚に陥ったことが、そんなバンドに出会ったことが僕もかつて何度かありました。

そのバンドたちはほとんどが解散してしまい、バンドのバランスが変わる様を見届けることが簡単じゃないとは知っているのですが*14、一リスナーとして、くじけなのその先をぜひ見せてほしいと願っています。

*1:生モノであるライブには調子のいい日悪い日があるので、あの日のライブが本人たちにとって満足いくものだったのかはわかりませんが、僕にはベストアクトにしか見えませんでした。

*2:楽器やその他演奏に関わる道具のこと。

*3:ギターの音を加工してかっこいい音にしたりヘンテコな音にしたりする機材。基本的に足元に置いて、それを踏むことによってスイッチが入ってギターの音が変わります。好きな人は足元に何十個も置くし、敢えて一個も使わないことによって男気を表現するというパターンもあります。

*4:日本で最も有名なエフェクターメーカー(世界でどうかは僕はわかりません)。日本全国どこでも売っていて、価格帯もエフェクターの中では割とお手頃。たくさんの種類のエフェクターを出していてプロもアマも使っていますが、こだわっている人は高価なエフェクターや珍しいエフェクターを使いがちでBOSSを敬遠します。「それでも1個だけBOSS使ってます」みたいなパターンもあるけど、「BOSSしか持ってません」だと舐められる可能性高し。

*5:立ってギターを弾くために使う紐(ベルト)。肩にかかっているあれです。

*6:最近楽器屋さんに行ったとき、ほぼ同じデザインで機能性だけ向上した3000円くらいの上位モデルもあったので、もしこっちのモデルを使っていたのなら話がまた変わってくるのですが、僕は1000円のモデルを使っていてほしいです。

*7:30万円くらいする有名なベースメーカー。独特のフォルムがかっこよくて見た目で買いたくなっちゃう。

*8:作詞作曲とは得てして孤独なものです。

*9:具体的には、ギターやベースの音によるものが大きいです。ギターやベースは、音を増幅して出力するアンプやエフェクターで様々な音を作ることができます。高音域をたくさん出力すると耳の痛い音に、低音域をたくさん出力するとボワボワして何を弾いているかわかりづらい音になるといった感じです。そこを上手に調節してギターとベースでそれぞれの役割を果たし、総合的にバンドの音は作られていきます。ちなみに、高い楽器は勝手にゴージャスな音に、安い楽器はがんばってもチープな音になりやすいです。

*10:音楽的な話をすると、狭い帯域をグググとブーストして音量を稼ぐ感じの歪み。BOSSのオーバードライブ踏んでるのかな、とか思います(確証なし)。ビートルズとかマディ・ウォーターズとかがやってそうな音作りの歪みの部分をシンプルにした感じですかね。

*11:長くなったので省略しましたが、実はくじけなは歌詞もすごくいいです。

*12:今回は機材やステージングに触れましたが服装や髪形などのファッションの部分も、バンドがお客さんに与える印象を大きく変えますよね。

*13:それは実体験として、僕のバンド自体がそうやって色んな要素のマイナーチェンジを繰り返して変化してきたという実感があるからです。といっても僕のバンドはそこまで奇跡的な瞬間風速を出していなかったかもしれませんが。

*14:人が誰しもいつか死ぬようにバンドもいつか解散します。それにしたってインディーズバンドは短命な場合が多いです。

生まれて初めてトークイベントに登壇してわかったことと、その改善策

映画 バンド/音楽How to

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少し前の話になるのですが、今年の3月5日、生まれて初めてトークイベントに登壇しました。

僕はバンドをやっているので、毎月行われるバンドのライブでは曲と曲の間のちょっとしたトーク、所謂「MC」というものもやっていますが、"トークをするためだけ"に、お金を払って足を運んでいる人の前に立つというのは初めての経験でした。

とても刺激的でヒリヒリとしたこの初体験を通して感じたことや気付いたこと、そしてもう一度人前でトークをする機会があれば実践したい改善策について書こうと思います。

学校や会社、サークルのような団体など、人前で話をするという機会は誰しもあると思います。
共感することもあるかもしれませんし、人によっては参考にできたり、むしろアドバイスを僕に送りたくなったりする方(経験豊富ないい人)もいらっしゃるかもしれません。

少しでも興味のある方は是非最後までお付き合いください!

なぜ登壇することになったのか

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厳密に言うと映画上映会の、上映後のゲストトークに登壇しました*1

札幌の自主上映グループ「キノマド*2」主催のイベントでした。

札幌の劇場で公開されなかった新作映画*3を上映する「見つけるシネマ」というシリーズ企画で、『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』という映画の上映会があり、その上映後のゲストトークに呼んでいただきました。

この映画はスコットランドグラスゴー出身のバンド"ベル・アンド・セバスチャン"のメンバーであるスチュアート・マードックが監督・脚本を務めたミュージカル映画です*4

そういった映画の性質と、キノマドのスタッフの方が兼ねてから抱いていた「上映会後にゲストトークを開催したい」という思いの元、今回、地元札幌のミュージシャンがゲストトークに呼ばれることになりました。

僕が札幌で名のある有名ミュージシャンだというわけでは決してないのですが、キノマドのスタッフの方と僕の共通の知り合いの方がいて*5、その方の仲介があり登壇が決まりました。

一応僕も、詳しいと豪語できるほどではないですが映画は好きだったので、そういった面からキャスティングしていただきました。

話をもらった瞬間から、うれしさと楽しみな気持ち、やる気と不安で震えあがりました。

どういった内容のゲストトークだったか

ゲストトークには僕含め3人のミュージシャンが登壇しました。

特別映画に明るいわけではないが、ベル・アンド・セバスチャンが大好きなマツハシユーキさん*6

映画にも詳しくて、ベル・アンド・セバスチャンも結構好きだという澤谷恒一郎さん*7

そして、映画好きを公言しつつもこういった場に出るとなるとビビッて「僕そんな映画詳しくないんで...」という態度を取って逃げようとしている私青柳唯*8(ちなみにベル・アンド・セバスチャンはほとんど知らない)の3名。

この作品の上映は何日間かに渡って行われるわけではなく、この日一日のみ*9
朝から夕方までで計3回の上映が行われ、僕らが登壇したのは最後となる3回目の上映の後でした。

イベントの締めくくりとなる最後の回の上映の後に、映画本編のことやベル・アンド・セバスチャンのことなどをこの3人で20分間トークするというものでした。

最大の難関「お客さんは僕らのことを知らない」

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映画の上映が終わり、これからいざ登壇するぞという時、僕らは異質な緊張感に襲われていました。

音楽を演奏するために人前に立つそれとは違う、「人前でただトークをする」という経験値の少ない分野でのステージだったというのもあるのですが*10、そこにさらに追い討ちをかけているのが「誰も僕らのことを知らない」という事実でした。

僕らが有名人で、ファンがそのトークを聞きに来ているのならいざ知らず、僕らが相手にするのは「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガールを観に来たお客さん」です。
基本的には僕らのトークを聞きに来たお客さんではないのです*11

僕のことを知らない人たちの前で演奏することはよくありますが、それは武器(楽器であり音楽)を持ってステージに立っているので怖さはあまりありません。

しかし今回持っていく武器(トーク)は、仲間内の練習(打ち上げなど)でしか使ったことがないので、いざ本番で通用するかはわからないという怖さがありました。

こう書くと悪い面しか見えないですが、映画を観に来たお客さんが相手ということは、逆に言えば「普段ライブハウスに来ない層のお客さんをファンにする(トークでもって)」というチャンスでもありました。

この異質な緊張感には、そういったチャンスへの「やったるで」感も含まれていたのです…(ゴゴゴゴゴ…)。

全体の流れとよかった点

打ち合わせをあまりしませんでした。

それぞれのスケジュールが合わなかったのもありますし、個人的には「あんまり打ち合わせしすぎると、打ち合わせで盛り上がって本番で盛り下がるパターンになっちゃうんじゃないか?」という恐れもありました。

それでも当日の本番前、ある程度時間があったので、3人で軽く、どういった感じにしようかという話はしました。

このミニ打ち合わせが功を奏したのです。

打ち合わせの中で、マツハシさんは僕らが思っていた以上にベルセバヲタク*12だということが判明したのです。

今回のイベントの流れとしては、キノマド主宰の田口さんが僕ら3人を招き入れ、簡単に紹介。

その後は僕が司会のような、回し役を担当し、3人だけでトークをするというものでした。

そこでどういった方向に話を進めればイベントを面白くできるかを考えていたんですが、このマツハシさんのベルセバヲタクが判明してからは「いかにマツハシさんに熱を持って、映画の中に隠されたマニアックなベルセバ情報を紹介してもらうか」に懸かっているな、と思いました。

実際イベントが始まってからは、まずなぜ僕らがこのイベントにキャスティングされたかを僕がお客さんに説明し*13、その説明で「誰だよコイツら」の疑問を解きつつ、こちらの喋り方や雰囲気で、イベントの空気を柔らかくさせて、「お客さんも硬くならないでリラックスして聞いててね〜」という雰囲気作りを目指しました*14

その後中盤くらいからマツハシさんのマニアックなヲタクトークゾーンに突入することに成功し、これがなかなか内容として面白くなりました。

「主演の女の子のバンドのバックバンドが実はベルセバのメンバー(フルネームで紹介)」
「脇役だけど印象的な公園を掃除していたお姉さんは、実はベルセバのアルバムジャケットに登場していた」

などなど、ベルセバを好きでないとわからない映画内の小ネタをマツハシさんは紹介し、僕はベルセバをあまり知らないので、相槌を打ったり質問をしたりしてお客さん代表としてのポジションを務めました。

その他、僕の役割としては、ちょっとしたユーモアや小ボケでお客さんの空気を柔らかくするというのもあると思っていました。
これについては軽くジャブを打ったりしてはいたんですがなかなか笑い声を響かせるのは難しく、唯一一度だけ、終盤マツハシさんのヲタクを軽くいじるくだりで少しだけ「ドッ」と会場の笑いを誘うことができました*15

悪かった点とそれを踏まえた改善点

これについては完全に打ち合わせを綿密にやるべきでした。

中盤からマツハシさんのマニアックトークが炸裂したおかげで会場全体が温まっていき内容のあるものとなっていきましたが、序盤は澤谷さんが絶妙な観点で感想を述べるという良い点こそあれど孤軍奮闘で、全体としてのグルーヴを作れませんでした。

本来は綿密に打ち合わせをしてスタートから終わりまでの流れを決めてしまい、それを再現すべきだったんだなと、終わった今となっては思います。

最初にこの話をして、次にこの話を、そして最後はこうやって締めて…といったように、具体的なトークの内容とその流れを決めて、本番ではそれを再現しつつ、膨らませる話は膨らませて、流れに沿わない話はカットするという方法です*16

実際、後半で面白くなってきたマツハシさんのベルセバヲタクトークも、直前の打ち合わせで聞かせてもらったエピソードがほとんどでした。

事前に聞いてるからこそ次の話へのフリも投げられるし、打ち合わせの際に概要だけ聞いてた話を本番でさらに掘り下げるということもできるんです。

打ち合わせで一度聞いてる話でも、本番では初めて聞いたように「そうなんですね〜!」「なるほど〜」とリアクションをとることも以外とできました。

一度本心から出た「なるほど〜」は2回目でも再現可能だということも学びました。

むしろ流れを決めずに本題までスムーズに辿り着かせる方が難しいんですね。

テレビのバラエティ番組なんかでも、エピソードトークに関して言えば、事前のアンケート→打ち合わせでトークを選定→本番で披露と言った場合も多いようですし、20分間でギュッと内容の濃いイベントにするためには綿密な打ち合わせが必須だったんだと思い知りました*17

おわりに

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とても刺激的な体験をさせてくださったキノマドスタッフの皆さん、紹介してくれたひでさんを始め、一緒に登壇したマツハシさんに澤谷さん、お客さんや会場の札幌市資料館、果てはスチュワート・マードック監督にまで感謝の気持ちを抱きつつ、僕がイベント終了後に漏らした感想は「場数踏みたい...」でした。

とても楽しかったのはもちろんなんですが、もっとたくさんトークの戦場に立って鍛えられたいと思ったのです。

そんな話をする中で、なんと次の戦場が決まったのです...(ゴゴゴゴゴ...)。

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6/26にトークイベントに出演することになりました!

これだけ丁寧に振り返ってから、その流れで最後に宣伝する感じが、ドキュメンタリータッチで老夫婦を追った青汁の宣伝番組を思い出さざるを得ません。

なんと主催はマツハシさんがやっているフリーペーパーNAGISA。

内容は僕のバンドcolor chordのCDの特典でついてくるミュージックビデオの上映会&トーク&ミニライブといった感じです。

ちなみにそのミュージックビデオが収録されたCDのことを書いた記事もあります(読んでネ)。

yui-aochang.hateblo.jp

さらに「音楽がグッとくる映画」のトークショーのコーナーもやる予定です。

これには僕やマツハシさん、キノマドに僕らを紹介してくれた映画大好きのひでさんも登壇します。

澤谷さんも登壇してくれたら面白いと思うんですがスケジュール的に厳しいのかな、どうなのかなという感じです。

「トークを披露する機会がないなら作ればいいじゃない」という発想、最高だと思います。

札幌近郊の方は是非遊びに来てください!

今回は綿密な打ち合わせをしたいと思っています*18

この記事へのはてなブックマークもしてもらえるとうれしいです!
よろしくお願いします!

*1:なのでトークイベントというよりは「トークコーナー」と表現した方が正確かもしれません。

*2:クールなグループです。http://www.kinomado.com

*3:日本では毎年1000本以上の映画が公開されるそうですが、札幌の劇場で公開される作品はその半分くらいしかないらしいです。

*4:スチュアート・マードックがバンドとは別に始めたソロプロジェクト「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」として2009年に発売した初のアルバム『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』をミュージカル化した映画。ソロプロジェクトとか言ってるけど、オーディションで探した女性ボーカル2名がメインで歌ってたり、演奏にはベル・アンド・セバスチャンのメンバーが全員参加してたり、ベル・アンド・セバスチャンの曲のカバーもしてたり、なんでもありのスチュアートわがままプロジェクトって感じですかね。映画化することまでがプロジェクトだということをアルバム発売時から発表していたらしいです。こんなに壮大で、手間もお金もかかりそうな一大プロジェクトを実現させてしまうのは本当にすごい。めちゃくちゃ大変だったろうな、と想像しますし、実際は想像を超える大変さなんだろうな、とすら思わされます。

*5:ひでさん。企画もやってます。その空間にいた誰よりも本数的に最も映画を観ていると思われる人。ひで (@hiddengolden) | Twitter

*6:YOUMY,pappaの2バンドに所属している他、Swanntam名義でソロとしても活動していて、最近は「NAGISA」というフリーペーパーを主宰。マツハシユーキ (@youmy_mattsun) | Twitter

*7:YOU SAID SOMETHINGというバンドに所属し、苫小牧ELLCUBEというライブハウスのスタッフでもある。Y.S.S sawayaan (@yousaidsawa8) | Twitter

*8:color chordというバンド、Strange Fox Recordsというレーベルを主宰。

*9:つまり札幌でこの映画をスクリーンで観れるチャンスはこの日しかなかった!

*10:普段のライブと違い「トークがダメでも演奏を始めればいい」という逃げ道がないのもある。

*11:何人か友達が来てくれてはいましたが。(ありがたかったです!)

*12:ベル・アンド・セバスチャンヲタク。異常な愛とマニアックな情報を持っていた。

*13:マツハシさんはベルセバめちゃくちゃ好きで〜、澤谷さんは映画もベルセバも好きで〜といったような前述したそれぞれのキャラクター

*14:普段のライブのMCではこの空気作りを割と得意としているんですが、正直このときは異質な緊張感に包まれすぎて成功したか自分ではわかりません。謎に手震えてたし。多分あんまり上手くはいかなかったけど、最低限の説明は果たせました。

*15:ギリギリ一矢報いた感ありました。

*16:必要であれば司会の僕だけ手カンペを持ってもよかった。

*17:1時間くらいの長い場合だと、ゆっくり始まって段々と熱を帯びていく、といったパターンもアリなのかもしれないな、とも思いました。

*18:こうやって書くとハードル上がりすぎて嫌になってきました。

映画『海よりもまだ深く』 何も起きないけど、その決心に両手を挙げて叫びたくなる

映画

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映画『海よりもまだ深く』を観ました。

是枝裕和監督作品。
札幌シネマフロンティアにて。

是枝監督は家族を描いた作品をたくさん撮っていますが、母親役を樹木希林が演じ、その息子役を阿部寛が演じるという意味では『歩いても 歩いても』と共通しています。

他にも「家族が実家に帰って過ごす日を描く」という部分など、この2作品は共通する部分がいくつもあり、姉妹のような作品だと監督本人が語っているそうです。

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも正式出品され、国内のみならず海外でも評価の高い今作について、ネタバレ少なめ*1で書こうと思います。

人生の真理をつく名ゼリフが満載

「幸せってのは何かを諦めないと手にできないもんなのよ」

予告編で樹木希林が語っているこういった類の人生の真理のような名ゼリフがいくつも登場します。

それが特に物語を説明しすぎているとも、説教くさいとも感じませんでした。
なぜかと考えると、それはきっと阿部寛演じる良多があまりにかっこ悪い大人だからだと思いました。

この映画は樹木希林がいなかったら成立しないくらい、樹木希林という女優*2の凄さを感じる映画で、そんな人生の酸いも甘いも知った樹木希林が名ゼリフをいくつも残しています。

他にも、良多の勤める興信所の上司役のリリー・フランキーもズシッとした名ゼリフを聞かせてくれるし、良太の別れた奥さん役の真木よう子も鋭いセリフを刺してきます。

これらの名ゼリフたちに共通するのは、すべて阿部寛演じる良多に向けられた言葉だということ。

良多があまりにダメで、かっこ悪くて、上手くいかない人生を送っているからこそ、回りの人間が人生の真理を説くんです。

完璧に見える人って、誰も助けてくれないもので、逆にちょっと隙があったりダメだったりする人こそ人に助けられて生きていったりすると思うんですが、良多の場合も、生き方が下手だからこそ、より良く生きるための道標を人生の先輩たちが教えてくれています*3

日本の文化が詰まっている

特に僕が子どもだった頃、実家だったり、祖母や親戚の家に行った時に目にするような光景・文化がたくさん登場しました。

父が亡くなり、生前お世話になった人たちに送るハガキを母と娘が書くシーンから映画は始まりますし、団地という文化や、実家暮らし特有の生活の息遣いも描いています。
ギャンブルとしての競輪も日本特有のものですし、年間何十回と列島を通過する台風と付き合っていく家族の在り方も日本的です。

こういった描写は、感覚的に日本人以外には伝わらないんじゃないのか?
そんな不安を、カンヌ国際映画祭を始め海外で上映されるであろう是枝作品だからこそ感じたましたが、よく考えれば、それはむしろ逆なのかもしれないと思いました。

日本の映画だからこそ、日本の文化を詰め込んだのだと考えることができます。

映画通の外国人は、登場人物のセリフや態度、物語の流れの文脈から、初めて目にするその日本文化の意味を探し出そうとします。

僕はアメリカの青春映画に登場するプロムのシーンが好きなんです。
プロムというのは、アメリカの高校の卒業時(2年終了時もあるらしいけど)に開かれるダンスパーティーで、男女ペアで出席するルールとなっています。

映画の主役の青年は意中の女子をプロムに誘ったり、誘えなかったり、好きでもない女子と行くはめになったりするんですが、プロムは男女ペアじゃなきゃ出席できないからこそ、そこにドラマが生まれるんです。
しかも高校卒業前最後のパーティーとなると、そのドラマ性はもう想像に難くないでしょう。

僕は日本で生まれて日本で育ったからこそ、プロムの文化を知りませんでした。
映画で知ったし、むしろ映画でしか知らない。

そういった外国の文化を映画の文脈の中で感じて、学んで、そこに生まれるドラマを楽しむことが外国映画の醍醐味の一つと言えると思うのです。

今回のように、日本で生活していないと知らなそうな日本文化が映画にたくさん登場したとき、「外国人に伝わるのかな?」という不安もありましたが、それと同時に、「懐かしいな」「子どもの頃あったなこれ」と言った感情が沸き起こりました。

その感覚も気持ちいいんです。
その国の文化を映画に取り入れることは、知っている人も知らない人も楽しめる要素になるんだなと思いました。

何も起きない。それがいい

是枝監督はおそらくこういった映画をいくつも撮っているんだろうと思うのですが、今作も大きな事件やハプニングは起こりません。

それでも僕は映画終盤、席を立ち上がって「いぇーーー!!」と言いたくなりました。

ずっと続いていた関係が、これからも変わるわけではないのだけど、何か心の中で決心がつく。
映画はその瞬間を、その過程を描いていて、僕はそこにグッときました。

一見何も変わっていないようで、実際何も変わったわけではない。
ただ誰かの心持ちだけが変わるような、そんな映画が僕は好きで、『海よりもまだ深く』はまさにそんな映画でした。

おわりに

キャストがみんな良い演技をしていて、名指しで全員のいいところを挙げていきたいくらいなんですが、その中でも池松壮亮のナチュラルな演技とキャラクター、先輩を慕ってるけど若干舐めてる感じが最高でした。

ハナレグミの主題歌『深呼吸』も、曲としても純粋に良いし、映画ともマッチしていて最高です。

ちなみに『深呼吸』のミュージックビデオは映画のスピンオフ作品になっていて、池松壮亮を主演に据えています*4

ハナレグミ – 深呼吸 【Music Video Short ver.】 - YouTube

映画館で観るからこその迫力や演出がある作品ではないですが、今また映画館で観たくなっています。

号泣するわけでもないし、ハラハラさせられるわけでもない。
それでもじわじわと浸らせてくれる良い映画でした。

*1:でも結構しちゃうかもしれません。これからの人は気を付けて!

*2:いや、女優というよりも、それ以前の人間力の話かもしれない。

*3:あと、中村ゆり演じる良多の同僚も、新しくて、でも納得できる素晴らしい考え方を伝えてくれています。必見!

*4:YouTubeだとフルで観れないのがもどかしいですね!

映画『海街diary』一生観ていられる姉妹の日々。『男はつらいよ』のようなシリーズ化を希望します!

映画

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映画『海街diary』を観ました。
現在公開中『海よりもまだ深く』の是枝裕和監督による2015年の作品。

最近の是枝監督は世界での評価をどんどん高めていて、今や日本を代表する監督の一人と言って間違いないと思います。
そんな是枝監督の、映画監督して油の乗りきった今作。

実は公開当時映画館で観た作品なのですが、当時書いた文章に若干加筆修正をしてここに再掲します。

テーマとタイトルだけでグッとくる

何気ない日常の中、求めても求めなくても年月を経る上でどうしたって起こる変化にどう向き合っていくか。

生きているだけで人は何度も選択を迫られて、その大小は様々だけど、逃げたり立ち向かったり後悔したりして、それでも生きていく。

海のある街に生きる姉妹の日々の記録(diary)。
良い映画に良いタイトル!是枝監督最高!

姉妹という関係性のリアリティを垣間見る

姉妹の関係性というものがどういうものなのか、僕は身を持って知ってはいないけど、それでも感じる姉妹間の空気のリアリティ。

それぞれのキャラクターが立っているのも、わかりやすい。

「登場キャラクターを好きになってしまったら、だいたいその映画ごと好きになっちゃう」が僕の持論ですが、今作も例に漏れず魅力的な登場人物ばかりです。

四姉妹の中では、三女の夏帆の映画の中での扱いが比較的小さい印象を受けましたが、今作のハイライトは夏帆がカマドウマの真似をするシーンだと、ここに断言します。
間違いありません*1

キャストもヤバい

綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すずの四姉妹の時点で「この映画キャストヤバすぎ!」の声鳴り止まないのに、彼女らを取り囲みグイと押し出す脇役に風吹ジュン加瀬亮大竹しのぶリリー・フランキー樹木希林などなど。

少なくともこの5人が脇を固めている映画が格式高くならないわけがない。
徳が高くない映画にこの5人が揃うわけないじゃないですか。

『そして父になる』での功績を存分に活用して(多分)集結した超贅沢キャスト。
しかしそこに負けもせず驕りもしない映画自身の持つパワー!是枝監督にアッパレ!

おわりに

人の人生って絶対にドラマがあって、その紆余曲折を丁寧に描けばそれだけで良作になる。

創作物でこそあれ、彼女らの日々をずっと追っていくだけで作品として成立してしまう感じが安易に想像できます。

男はつらいよ』『釣りバカ日誌』のようにシリーズ化していつまでも観ていたい作品です。

*1:ものすごく偏った意見ですいません。夏帆ちゃんといえば岡田将生くんと共演していた『天然コケッコー』も思春期の日々を描いた傑作なので必見です。最高です。